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「酸化」は特に酸素と化合すると言う狭い意味での酸化に限定したとしても、宇宙空間でまた地球で行われている様々な化学反応の中で極めてありふれた反応であることがこれまでの話で理解していただけたと思います。
ではここでオゾンに話を戻して、オゾンによる酸化というのが何が特徴であるかについて考えてみます。
「酸化」の意味を「酸素と化合する」という狭義に解釈するとして、酸化の仕方には次のような種類があるでしょう。
上記でM及びRは酸素以外の原子または分子をOは酸素原子を表します。
オゾンによる酸化の特徴を把握するために上記4種の酸化について順に説明します。
酸素原子による酸化は一般に非常に速やかです。
酸素原子による酸化はたとえば空気中の放電の中で起こります。
空気中で放電が起こると酸素原子が沢山出来て、有機物は速やかに酸化分解します。
また、地球の上空では酸素分子が太陽の紫外線を浴びて酸素原子になってますので、そこにもし有機物や金属が上昇するあるいは宇宙空間から飛来するとたちまち酸化されてしまうでしょう。
酸素原子による酸化が非常に速やかであるのは次の二つの理由によると考えていいと思います。
酸素分子による酸化は酸素原子による酸化に比べると非常にゆっくりであるか、または全く反応が起こりません。酸素分子は2個の酸素原子が結びついたものです。酸素分子が他の原子または分子と反応するためには酸素原子同士の結びつきを緩めて、それから他の原子または分子と結びつくという2段階のプロセスを経る必要があります。
ところで酸素分子の中の酸素原子同士の結びつきは非常に強いのでその結びつきを緩めるためには外から相当のエネルギーをあたえてやる必要があるのです。
逆に酸素分子の中の酸素原子同士の結びつきを緩める程のエネルギーを外部から与えてやれば酸素分子による酸化もどんどん進みます。そのような場合の例として「燃焼」があります。
燃焼というのは酸素反応により発生するエネルギーを別の酸素分子に与えてその原子同士を分離させ、そうして出来た分子が酸化反応を起こさせるという連鎖が継続したものです。
しかし、燃焼のような連鎖反応が生じない場合に酸素分子により酸化反応を継続させるためには、高温に加熱し続けるあるいは紫外線を照射すると言うように継続的に外部からエネルギーを与えてやる必要があります。
但し、酸素分子が単独でなくたとえば水と一緒になると外部から大きなエネルギーを受けなくても酸化作用を生じる場合があります。たとえば鉄などが水をかけるとよく錆びる(酸化する)のはこの様な例です。これは水中で酸素分子内の原子同士の結合が緩められるような仕組みがあるためと理解できます。
オゾンによる酸化は次の2つの場合があるといわれてます。
金属や無機物及び多くの有機物に対する酸化の仕方です。
この反応はO3⇒O+O2というオゾンから酸素原子が放出され、その酸素原子が他の原子もしくは分子と反応するという2段階で起こると解釈できます。
ところでこの酸素原子の放出はそれほど大きなエネルギーが外部から与えられなくても起こります。また酸素原子による酸化反応は上述のように極めて速やかですのでこのようなオゾンによる酸化は酸素分子による酸化に比べて相当速やかに起こります。酸素分子に比すと相当低い温度でも酸化が起こります。
ある種の有機物に対してオゾニドを作る場合の反応です。
オゾニドというのは次のように炭素の2重結合の部分にオゾンが入り込んだものです。
X-C=C-Y+O3⇒X-C-O-O-O-C-Y
この様な酸化の仕方はオゾンの独特のもので、酸素原子や酸素分子によっては起こらないものです。
たとえば溶鉱炉のなかではコークス(炭素)を鉄鉱石(酸化鉄)と一緒にして加熱して鉄を取り出します。これは鉄鉱石の中の酸素をコークスが奪って炭酸ガスとなったためです。コークスから見れば鉄鉱石によって酸化されたことになります。
この様に酸素物を他の種の原子と一緒にして酸化物中の酸素を他の原子に移行させるのが酸化物による酸化です。
この様な酸化も酸素分子による酸化と同様に酸化物中の酸素の結合力を緩めて他の原子と反応させるというプロセスが必要なために反応を起こさせるために外から相当のエネルギーを与える必要があります。
以上にお話したことからオゾンによる酸化の特徴をまとめると次のようになります。
尚、酸素原子はオゾン以上に酸化が速やかですが、地上付近には殆ど存在せず、人工的に生成してもたちまち消滅してしまうため、この地上付近ではオゾンは酸素化合物の中で最強の酸化作用を持つものと考えてよいかと思います。