研究者・工場向けオゾン装置メーカーのエコデザイン株式会社。オゾンを現場で安全かつ効果的に使用する方法をアドバイスします。
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オゾンが様々な利用価値を持つことは確かです。
しかし、オゾンを試して思うように行かなかったと言う例も非常に多くあるようです。このようなオゾンの失敗談は公知される機会が少なくそのため、同じような間違いはあちこちで繰り返されているのでないか、と推定されます。
これからは失敗談も語り継ぐようにしていくこともオゾン利用の発展のために必要でないかと思います。
私自身の経験はそんなに多くないのですが、ここで人から聞いた、あるいは自己の記憶にあるいくつかの失敗談について話をしておきます。
ある機械工場で小さな昆虫(種は不明)が発生したのでオゾンによる退治を試みました。
工場の一部を密閉し、2g/hr程度のオゾンを一日くらい散布しました。
オゾン濃度は10ppm以上になったと推定されます。
結果は確かにその部分から昆虫はいなくなったのですが、他の部分に現れたと言うことです。
工場の人は昆虫は退治されず単に移動しただけでないかと推定してます。
一方その工場の機械に使用していたゴムが損傷し、その工場ではオゾンによる昆虫の退治を断念しました。
尚、これは後から聞いた話ですが、昆虫はオゾンには相当強く100ppm程度ではなかなか死なないと言うことです。
私の寝室に脱臭の目的で1g/hr程度のオゾンを半日ほど散布しました。
結果はオゾン臭が何日か取れなくなりました。これは布団などの着いた油分がオゾン化物となり匂ったのでないかと推定してます。同じような話を車の中の脱臭を試みた人から聞いてます。
後にオゾン脱臭に詳しいメーカの人から聞いた話では、部屋のオゾン脱臭をするにはオゾンの散布の後に暖房を効かせて臭い成分を飛散させるあるいは分解することが有効とのことです。
ある食品工場で夜間にオゾンを散布してネズミを撃退することを試みました。
空気中オゾン濃度の推定値は1ppm程度で毎晩数時間保持しました。この濃度では哺乳類は長くいられないはずです。
しかし、ネズミは利口でオゾンの濃度が低下した時に出てくるようで、撃退は出来ないとのことです。
ネズミの撃退には更なる工夫が必要のようです。
クーリングタワーの内側に苔が生えてそれが剥がれたりして冷却水を汚すとのことで、オゾンによる除去を試みました。
クーリングタワーの内部にオゾンを散布しました。
2g/hr程度のオゾンを1ヶ月程散布したのですが顕著な効果は認められませんでした。
クーリングタワーの内部ではファンが動いたり止まったりしているそうです。ファンが動いているときには風が高速で流れオゾンの濃度が極端に薄まってしまうので効果は期待出来ません。
一方ファンの停止しているときには相当濃度が高くなりそれが苔にダメージを与えると期待したのですが、クーリングタワーを設置した場所がビルの屋上で風が強く、しかも風は絶えず方向を変えるために苔にダメージを与える程度までオゾンを当てることが出来なかったのだろうと推定してます。
魚の養殖のために海水を循環使用する場合があります。
その海水の殺菌にオゾン殺菌が試みられたのですが、魚が死んでしまうという被害があったと聞きます。
原因はオゾンで水中の臭素イオンが酸化し酸化臭素となり、それが魚に対して毒性を持つためと判明したと言うことです。
現在では海水をオゾン殺菌した場合には、活性炭を通して酸化臭素を元の臭素イオンに戻すことにより、そのような被害が発生しないことが判っているということです。
犬や猫を長期に亘って室内で飼っていたため、家中がその臭いで充満したと言うことで、1g/hrぐらいのオゾンを2昼夜ほど散布したということです。
結果は十分な消臭に至らなかったということです。
床、壁等に沁みこんだ臭いをオゾンで完璧に除去するのは困難なように思います。
もし、オゾン散布と暖房を交互に、あるいは同時に長時間した場合にはより良い結果が得られたかも知れません。
グリーストラップというのは飲食店、食品工場、給食センターなどの排水路に設けられた油分除去用の水槽ですが、そこでの油分の固形化、腐敗臭の発生等を防ぐためにオゾンが用いられてます。
その水槽にオゾンをバブリング(気泡状に発生)させてオゾン処理をします。
ある幼稚園の調理室の排水用グリーストラップにオゾンを使用しました。
ところがそこで使用しているある電気機器の銅の部分が腐食して損傷すると言うことが起こりました。
調べてみたらその電気機器とグリーストラップの間が配管で繋がっていて、その配管を通じてグリーストラップ内のオゾンが電気機器に流れ込み損傷を引き起こしたことが判りました。
以上思い出したままに人から聞いたあるいは自らの失敗談のいくつかをあげてみました。
このような失敗も教訓にしてよりよいオゾンの利用方法を探りたいと思います。
次のページでは、オゾンの爆発性について述べます。「次の話へ進む」からどうぞ。