研究者・工場向けオゾン装置メーカーのエコデザイン株式会社。オゾンを現場で安全かつ効果的に使用する方法をアドバイスします。
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皆さんは空気中の酸素についてご存知だと思います。
そうです。皆さんが吸っている空気の中に入っていて、人間が生きていくためにどうしても必要な気体です。
次はエベレスト登山中の写真です。(最年少登頂者テンパ君16歳)
エベレストのように高いところに上ると空気の密度が薄くなり、その中の酸素も少なくなるのでこのように酸素ボンベから酸素を取り出して吸う必要があります。
酸素というのはこのように人間にとってとても大切なものです。
オゾンというのはこの大切な酸素から作られるものです。
そしてとても面白い様々な働きをします。
皆さんにもこのオゾンの面白さを是非知ってもらいたいと思います。
これからこの面白いオゾンをたずねて皆さんと一緒に空想の旅をしてみたいと思いますが、どうでしょうか。
まずオゾンの姿を見てみましょう。
ところでオゾンの姿を見るには皆さんの身体を小さくしていく必要があります。
私が子供のころ「縮みゆく人間」というSFの映画を見ました。
主人公が縮んでいき、自分の身体より大きなクモと針の剣で戦って勝ったりして、この先どこまで縮んでいくのだろう、というところで物語はおわります。
でもオゾンを見るのには皆さんの身体をもっともっと小さくしていきます。
あ、見えてきました。これがオゾンの姿です。
そうです。オゾンは酸素の原子が三つ集まって出来たものです。
ちなみに皆さんが呼吸している空気中の酸素というのは、酸素原子が二つ結びついて出来た酸素分子というものです。
オゾンは知られている天体の中では地球に最も沢山あります。それは地球にはオゾンの原料となる酸素が豊富でまたオゾンが出来るのに適した環境があるためです。
では地球上のオゾンはどのようにしてできるのでしょうか。
地球のオゾンはオゾン層と雷の中で出来ます。オーロラの中でも出来ているようです。
オゾン層でも雷の中でもオーロラの中でもオゾンは次のように酸素原子と酸素分子が結合して出来ると考えられています。
ではオゾン層に上っていってこの目でオゾンの出来る様子を見てみましょう。
これがオゾンの出来る様子です。
つまり空気中の酸素分子が太陽の紫外線にあたって酸素原子になり、その酸素原子が酸素分子と結びついてオゾンが出来るというわけです。
オゾン層というのは地面から15km~30km位の高さで特にオゾン濃度の高い大気の層のことを言うのですが、何故この部分にオゾンが沢山あるのでしょうか?
それはそのあたりで太陽の紫外線が強く、また酸素分子も沢山あるためにその紫外線が酸素分子にあたって酸素原子が沢山作られているためです。
オゾン層より下の方では紫外線が弱くなり酸素原子がほとんど出来ないのでオゾンも出来ません。またオゾン層より上の方に行きますと酸素分子は大部分が酸素原子になっていて酸素分子が非常に少ないためにやはりオゾンは出来ないのです。
次に雷の中のオゾンの出来方を見てみましょう。
次はオーストラリアのMr.Michael Bath に掲載許可いただいた落雷の写真です。
次は雷の中でオゾンが作られる様子です。
雷の中では空気中の分子から電子が剥ぎ取られてその電子が猛烈なスピードで走ってますが、酸素の分子にその高速の電子が当たって酸素原子となり、その酸素原子が酸素分子と結合してオゾンが作られています。
オーロラの中ではオゾンはどうなってるのでしょうか?
次はカナダのMr.Philippe Moussetteに掲載許可頂いたオーロラの写真です。
オーロラの中では雷の中と同じように高速の電子が走り回っています。
従って雷の中と同じような仕組みでオゾンが作られるかも知れません。(詳細は本編に後述)
以上で地球のオゾンがオゾン層、雷、オーロラ等の中で作られているというお話をしましたが大部分はオゾン層の中で作られ、それに比べると雷やオーロラの中で出来るオゾンの量は無視できます。
ところでそのオゾンを作る原料となる酸素は地上や海中の植物の光合成で作られます。
そのことを含めてまとめると地球上のオゾンの出来方というのは次のように言えます。
「植物の中の葉緑体が太陽の光を浴びて炭酸ガス(O-C-O)と水(H-O-H)を原料に酸素分子(O=O)を作りその酸素が上空に昇り、太陽の紫外線により酸素分子が酸素原子に分解し、酸素分子と結合してオゾンが出来る」
以上では自然界でのオゾンの出来方を見てきました。
この辺で人間によるオゾンの作り方を見てみましょう。
人間も自然界と同じような仕方でオゾンを作ってます。
ひとつはオゾン層と同じように紫外線で作ります。
つまり紫外線ランプから出る紫外線を空気や酸素に当ててオゾンを作るのです。
もうひとつは雷と同じように空気中あるいは酸素中に放電を起こさせて作ります。
この放電による方法は紫外線ランプによる方法に比べて沢山のオゾンを取り出せるために、沢山のオゾンが必要な場合にはほとんどこの放電による方法によってオゾンを作ってます。
これは地球上での自然界のオゾンが大部分紫外線によって作られるとは逆です。
放電は狭い部分に高い電圧をかけることによって起こさせます。
その構造はいろいろですが、ここではエコデザイン株式会社の石英三重管型の放電管を例にとって説明いたします。これはその構造で黄色いところは石英管で作られてます。
水色のところは水が入っています。
次は運転中の様子です。内側の水と外側の水の間に高電圧がかけられ、紫色の部分で放電が起こり、オゾンが作られます。
次は上の図の中の放電部というところを拡大した図です。
この図の放電柱というところが雷の中と同じように電子が飛び回っていてオゾンが作られているところです。この部分に空気や酸素などの原料気体を通過させてオゾンを取り出します。
このほか水の電気分解でオゾンを作る方法もあります。この方法は放電による方法に比べると効率は悪いのですが、高い濃度のオゾンを取り出せるので特に高い濃度のオゾン水を作る場合によく用いられてます。
オゾンは常温で気体ですがそれを液体窒素(-196℃)で冷やした容器に通じるとその容器の内部に紫色の霜のような固体が付着します。これは固体のオゾンですがそれを暖めるとすぐに紫色の液体となり、更に紫色の気体となります。この紫色の気体は爆発し易くとても危険なものです。実際爆発させたことがありますが、約1gのオゾンの爆発でしばらく耳が聞こえなくなるほどの大音響でした。
しかし、普通に利用するオゾンは濃度が低いため爆発することはありません。但し、オゾン臭という独特の臭いを持っていて、強いオゾン臭のあるオゾンを吸入すると有害です。
オゾンは非常に強力な酸化作用を持つのが大きな特徴です。それはオゾンはその3つの酸素のひとつを放出して他の物質にあたえて、酸素分子に戻ろうとする性質があるためと言えます。
特にオゾン分子と水の分子が一緒に存在するとヒドロオキシラジカル(H-O)という更に酸化力の強いものが出来てそれが強力な酸化作用の原因になるといわれています。
オゾンは殺菌、脱臭、漂白等に用いられてますがそれはいずれもその強力な酸化力を利用したものと言えます。
オゾンは放置すると自ら分解して酸素に戻って消えてしまうために長期の保存は出来ません。
また、この消えてしまう性質があるために環境に優しい酸化剤と言われてます。
「ガイヤの仮説」という考え方があります。これはJ.Eラブロックにより提唱された「地球をひとつの生命体のようにみなせる」という考え方です。
1個の生命を考えてみます。たとえば皆さんの身体です。ものを食べて、それを身体の組織にし、また運動するためのエネルギーにします。そのために呼吸をし、体温を保持し、人間の考えも及ばないほど複雑な化学作用を次々と起こさせて、生命を維持してます。
「地球も全体としてこのように自己を維持させるための活動をしてきていてこれはあたかもひとつの命のようだ」というのがこの「ガイヤの仮説」の言わんとするところでしょう。
私にはこのオゾンの働きというのはこの「ガイヤの仮説」を支持するひとつの大きな証拠のように思えます。次にどうしてそのように考えるかを説明いたします。
オゾン層が太陽からの紫外線を除去する働きをしていることはよく知られていると思います。
生命は強い紫外線には非常に弱いものです。私の体験ですが実験で紫外線ランプを合計数十秒程度見てただけで、夜中に目があけられないほど痛み、一時は盲目になるのでないかと恐れた位です。強い紫外線が良くないのはそれが生命の細胞の中の一番大切な部分であるDNAを直接攻撃してダメージを与えるためです。単細胞生物は紫外線で殺されますし、人間のような高等生物は皮膚がんにもなります。
オゾン層はこのような有害な紫外線を防ぐ働きをしています。
太陽からの紫外線は波長の短いものから比較的長いものまでありますが、波長の短いものほど1個の紫外線の持つエネルギーが強くて有害です。
次の図でUV-CというのはC波と呼ばれて最も有害な紫外線、UV-BはB波でかなり有害なもの、UV-AはA波でそれほど有害でないものです。
この中でC波は空気中の酸素がさえぎり、地上にはまったく到達しません。
オゾンがさえぎるのはC波の次に有害なB波です。近年オゾン層の破壊ということでさわがれていますが、それはオゾン層中にオゾンホールと呼ばれるオゾンの濃度の薄い部分が出来てしまい、その部分からB波が地上に到達してくるようになったということです。
地球の歴史をたどりますとこのオゾン層というのは数億年前にほぼ現在の形になり、それは生命が海中から陸上に進出した時期にほぼ一致してます。
次は森洋介さんのホームページ(リンク別窓)からの大気中の酸素とオゾン濃度の変動を示すグラフです。このグラフでもオゾン濃度は生命の陸上進出の時期に現在の濃度に近くなっています。
「ガイヤの仮説」の考え方により地球をひとつの生命体と捕らえると、オゾン層というのは陸上の生命体を有害な紫外線から守るための皮膚のようなもので地球にその皮膚が出来て初めて生地球の筋肉や内臓というべき森林や動物たちが生存できるようになったということでしょう。
オゾン層で作られたオゾンは大気の対流に乗って地上にも降りてきます。
オゾンは酸素に比べて非常に強力な酸化作用を持ちます。
そのため地上に降りてきたオゾンは地上の高等生物にとって有用な次のような働きをします。
・殺菌作用
大気中に微量のオゾンがあることで大型生物にとって有害な微生物の増殖が抑制されています。
・有機物分解作用
オゾンはその強力な酸化作用で有害な有機物を分解し無害化します。
・免疫活性化作用
オゾンは生命の免疫作用を刺激する作用があるようです。この作用はオゾン療法として病気の治癒にも使われてます。
・季節のシグナル作用
地上のオゾン濃度は季節により変動します。一般に夏に高く、冬に低くなります。この変動が生命に季節の到来を告げる働きをしているようです。たとえばアコヤガイはオゾンの刺激で放卵を開始することが知られてます。
このように地上の生命とオゾンの存在は大変密接に関係していて、特に高等生物はオゾンなしには地上には生存し得ないでしょう。
ところでこのようなオゾンは大気中の酸素から作られてます。そしてその酸素というのは植物の光合成により作り出されているのです。
地球上の生命は酸素を作りそこからオゾンが生まれ、そのオゾンにより紫外線を防ぎ、有害微生物や有害有機物を除き、生命自らを守っているということです。この精妙な働きを思うと地球をひとつの生命体と考える「ガイヤの仮説」もうなずけるのではないでしょうか。
以上で自然界におけるオゾンの働きについて話ましたが、人間はオゾンをどのように利用しているのでしょうか?
地球における自然界のオゾンは「殺菌、有機物分解、免疫活性化、季節のシグナル」等の働きを持つと言いましたが、人間はこれらをいずれも利用してます。
殺菌……水の殺菌、空気殺菌、野菜殺菌、手洗い、医療器具等
有機物分解……脱臭、パルプ漂白、廃水処理等
免疫活性化……オゾン療法
季節のシグナル……アコヤ貝の放卵促進
このほか新物質の合成などオゾン利用の範囲は様々で、その利用分野は更に拡大しつつあります。