オゾン物語 オゾンの利用……室内空気の殺菌

オゾンの利用……室内空気の殺菌

これからオゾンによる殺菌についていくつかの方向から考えてみたいと思います。

オゾンの殺菌効果については既にいろいろなデータが公表されています。オゾンを殺菌に利用する場合にはそれらのデータが参考になると思いますが、実際にどのようなオゾン濃度や殺菌時間が必要かなどはケースバイケースで選定していく必要があると思います。

オゾン殺菌にも室内空気の殺菌、水の殺菌、食品の殺菌、医療器具の殺菌等等いろいろあります。

今回は室内空気の殺菌についてです。

次は大気中のオゾンの変動を紫外線式オゾン濃度計で連続測定した結果です。場所は当社のある埼玉県小川町で、季節は8月の中ごろです。

大気中のオゾンの変動

大気中のオゾン濃度は夜中の0~2時ごろに最低で昼間の12~14時ごろに最高になってます。オゾン濃度の最高値は0.1ppmに到達することもあります。このようにオゾン濃度が高くなるのは大気の対流でオゾン層のオゾンが地上に吹き降ろされるためと考えられます。

(尚、この0.1ppmのオゾン濃度というのは作業環境における安全上のオゾン濃度基準に一致してます)

このような自然界のレベルのオゾン濃度でも効果はあるのでしょうか。

杉光英俊博士の「オゾンの基礎と応用」に、0.1ppmのオゾンで1時間で室内の浮遊菌が約5分の1に減少したというデータが記載されてます。

従って、自然界の大気中のオゾンでもかなりの殺菌効果があると考えられます。

(ただし、同じ大気でも室内の大気のオゾン濃度は換気を十分にしない限り非常に低くなり、殺菌効果は期待できません)

室内空気の殺菌で速やかな効果を期待しようとしたら1ppm程度は必要と考えてます。これは安全上のオゾン濃度基準0.1ppmの10倍に相当します。

従って1ppmオゾンによる室内空気の殺菌は人のいない時間帯にする必要があります。

たとえばレストランや食品工場などでは人のいない夜間に室内の空気のオゾン濃度を1ppm程度まで高めて放置し、出勤の時間帯までにオゾンが0.1ppm以下に低下するようにします。

一般の住宅やホテルでは人のいない昼間にオゾン濃度を上げることが考えられます。

人が常にいる部屋の殺菌ですとオゾン濃度は常に0.1ppm以下とする必要があります。

実際は0.1ppmでもそれが連続すると悪影響が考えられるので平均では0.05ppm以下とするのが安全でしょう。

このようなオゾン濃度に維持することは技術的にもかなり難しい問題があります。というのは上のグラフにもあるように大気中のオゾンのバックグラウンドがかなり変動するためにです。

オゾン濃度を常に検知して濃度制御をすればよいのですが、それにはかなりの金額の装置が必要になります。そこで室内殺菌用として市販されているオゾン発生器の多くは非常に少ない量のオゾンを発生するものとなっているようです。しかし少なすぎても効果が疑問(自然界の大気のオゾンの効果とあまり差が無い)でこの辺がなかなか難しいようです。

次は、1ppmで殺菌するとはどういうことなのかについて考えてみます。「次の話へ進む」からどうぞ。