オゾン物語 オゾンの利用……空気殺菌1ppmの意味

オゾンの利用……空気殺菌1ppmの意味

空気中の細菌を殺菌するのには1ppmで1時間程度あれば十分なようです。

オゾン濃度1ppmで1時間と言うのは細菌にとってどういうことでしょうか。

細菌になったつもりで考えて見ます。

たとえばブドウ球菌というのは直径1μm位の球状の菌です。

大腸菌は直径0.5μm、長さ2μm位の棒状の菌(桿状菌)です。

芽胞菌はそれより大分大きく直径1μm、長さ5μm位の棒状の菌です。

オゾンはこれらの菌の表面の細胞膜をアタックして、酸化し易い部分を酸化して細胞膜に損傷を与えます。細胞膜と言うのは菌の体内と体外の仕切りで体内の物質を保持し、また体内外の物質の授受(代謝)をコントロールしていますが、その損傷により、体内の物質が流出する、あるいは正常な物質の授受が出来なくなり、死滅すると考えられます。

オゾン濃度が1ppmの時、上記の菌類の細胞膜にどの程度の頻度でオゾン分子が衝突するかを計算すると、ブドウ球菌で1秒間に77億回、大腸菌で86億回程度、芽胞菌では420億回程度、です。

ところでこれらの菌の表面に現れている原子の数は(原子間距離を0.1nmと仮定して)ブドウ球菌で1.4億、大腸菌で1.6億、芽胞菌で7.7億個です。

これから細胞表面の各原子に1秒間に55回のオゾン分子が衝突することになります。

このように衝突回数が多いので細胞はたちまちオゾンで損傷しそうですが、実際にはそれほど急激に損傷しません。

ひとつの理由はオゾンの分子が単独で細胞の原子に衝突しても、反応は起こりにくく、水の分子と一緒になって反応するということがあるようです。実際乾燥状態ではオゾンの殺菌能力が著しく低下することが知られてます。

つまりオゾン分子と水の分子がたまたま同時に細胞の同じ場所をアタックしないと反応は起こらないと考えられます。

オゾン分子が細胞の原子に衝突している時間は1兆分の1秒程度です。従って1秒間に55回衝突しても衝突している時間としては1兆分の55秒程度です。そのわずかな衝突時間の間に水の分子が同時に衝突すれば、反応の生じる可能性が高くなるということです。詳しい話は省略しますが、水の分子とオゾンの分子がひとつの原子に同時に衝突する確立はきわめて低く、反応はほとんど起こらないと言うことになります。

筆者は細胞が水の分子を吸着しているため反応が起こりやすくなってると考えてます。

次は、1ppmの効果についてです。「次の話へ進む」へどうぞ。