オゾン物語 オゾン層の話

オゾン層の話

オゾンが私達の生活や産業にいろいろ利用されていることを知らなくても、オゾン層についてはほとんどの人が聴いたことがあると思います。オゾン層の破壊は地球温暖化と並んで地球規模の環境問題としてマスコミにも絶えず話題にされて来てます。地球温暖化は二酸化炭素によるものでオゾン層の破壊はフロンガスによるものだということ、多くの人が聞き馴染んでいると思います。更に地球温暖化が起こると海面が上昇して地上の面積が狭められるし、オゾン層が破壊されると紫外線が増えて人に皮膚がんが増えるというようなことも聴き覚えている方が多いと思います。

しかしオゾン層がどうして出来て、どうして破壊されるかということ等になるとおぼろげな人が多いのではないでしょうか。私自身オゾン層について意識的に関心をもってネットや文献を調べて見るまではやはりおぼろげでしたが、調べてみるといろいろ面白いことが見えてきました。

オゾン層は皆さんが呼吸しているこの大気の上空に作られるものですが、そもそもその大気というものが非常に絶妙なバランスのもとに安定して存在しているもので、人や諸々の生命はこの大気の絶妙なバランスがあって初めて生きていられるのです。

オゾン層というのはこの大気の微妙なバランスの中にあって保持されているもので、言わばそのバランスの絶妙さの象徴のような存在です。

それから興味をもって地球でのオゾン層の歴史というのを考えて見ました。そうするとこれがまたもっと面白いのです。オゾン層というのは生命の進化に深く関わっているようなのです。私がどうしてそう考えるようになったかは後ほどお話します。

先ずはじめに地球の大気というものを考えて見ます。

「空気のようなもの」という言い方がされます。これは「無くてなならないけど普段はあることに気が付かない存在」という意味で使われているように思います。たとえば「私の女房は空気のようなもの」というようにです。

私達は普通に呼吸してますが、これが出来るのは私達の吸っている地上付近の大気に「適切な気圧と酸素濃度と湿分があり、かつ有害物質がない」からです。

次はエベレスト登山中の写真です。(最年少登頂者テンパ君16歳)

エベレスト登山中・最年少登頂者テンパ君16歳

ここで見ていただきたいのは酸素マスクです。

エベレストは標高8848mといわれます。随分高いといえば高いですが、水平距離で行きますと、8848mというのは1時間半程度でいける距離です。つまり私達がお空に向かって歩けるなら1時間半も歩くと呼吸が苦しくなってくるということです。地球の径は12700kmくらいですからエベレストの高さはその約1400分の1です。これは30cmのボールの上の0.2mmの突起のようなものです。私達の呼吸出来る大気の層の厚みというのもその程度の厚み、すなわち私達は地球の上に薄皮のようにある大気の層の中でのみ生存できる存在だということです。

このことをもう少し数量的に表したのが次のグラフです。(元データ:理化年表)

これは高度と共に気圧が急激に減少する様子が示されてます。

高度と気圧