オゾン物語 オゾン層の話……オゾン層と紫外線 その1

オゾン層の話……オゾン層と紫外線

オゾン層が生命に有害な紫外線を遮っていることは、現在では多くの人々に知られていると思います。ここではその紫外線を遮る仕組みなどについてのお話をします。

次は地球の大気圏外と地上の太陽光スペクトルです。ここでスペクトルというのは太陽光の中の波長別の強度の分布です。

虹の色は赤橙黄緑青藍紫と言われてますが、これは波長で言うとおよそ0.77μm~0.38μm(μm:マイクロメートル=1/1000mm)の範囲で可視光といわれる範囲です。

紫外線というのはそれより波長が短くて人間の目には見えない波長の光です。

下の図で地上の太陽光スペクトルには0.3μm以下の光が無いのが分かります。

この0.3μm以下というのは特に生命に有害な紫外線の領域です。大気圏外の太陽光にはこの波長範囲の光があるのに、地上の光にそれが無いのは大気中の酸素とオゾンがそれを吸収するからです。

太陽光スペクトル(グラフ)

オゾンが紫外線を吸収していることは知られていても、酸素も紫外線を吸収していることは案外知られてないようです。次は酸素とオゾンの紫外線吸収の役割分担についてです。

紫外線はその有害性からA波、B波、C波の3種類に区分されてます。

次の図は波長がnm(ナノメートル)という単位で示されてますが、これはμm(マイクロメートル)の更に1/1000の単位でたとえば300nmというのは0.3μmと同じです。

紫外線

A波は非常に有害な紫外線ですが、大気中の酸素はこの波長領域の紫外線を完璧に吸収し遮ります。B波もかなり有害ですが、この波量領域の紫外線をオゾンが吸収してます。C波は地上に到達しますが、幸いそれほど有害ではありません。

この様にして酸素とオゾンで地上に降り注ぐ有害な紫外線を遮っているわけです。

面白いのは酸素は最も有害なA波を吸収すると酸素原子になり、そこからオゾンが出来てそのオゾンがまたB波を吸収し、かくして地上は紫外線から守られているという、実に生命にとってはとてもラッキーな仕組みが自然界に存在しているということです。何故こんな旨い具合で出来ているのか本当に不思議です。

紫外線の有害な理由

紫外線というのは何故生命に有害なのでしょうか。

それは紫外線が生命に最も重要なDNAを破壊してしまうからです。

ではNDAはどのようにして紫外線で破壊されるのでしょうか。

一般に光は非常に細かく光速で走る粒子のようにイメージできます。波長の短い光ほどそのエネルギーが大きいのです。この光の粒子は光子(こうし)と呼ばれてますが、この光子が物質に当たると、主にその物質の中の電子と相互作用を起こして、電子にエネルギーを与えます。

可視光の光子は紫外線に比べてエネルギーが小さく、生命の細胞の表面の分子に当たるだけでそのエネルギーを失い、または反射して細胞の中まで到達しませんが、紫外線の光子は細胞の中まで到達し、場合によってはその DNAを形成する分子の電子を跳ね飛ばし、その結果DNAの一部が切られたり、配列が変えられたりします。紫外線により皮膚癌が出来たりするのもこのようなプロセスによると考えられます。

上記で紫外線の種類に波長の短い順にA波、B波、C波があり、A波が最も有害で、B波はかなり有害、C波はそれほど有害でないと言いましたが、それは波長が短い程、光子のエネルギーが高く、DNAの破壊力も大きいからであると言えます。

紫外線によるダメージは概して体の小さなものほど大きいと考えられます。それはたとえば極端な話で、単細胞生物などはたっひとつしかないDNAを壊されたら直ちに死に至るからです。

紫外線は生命にとって害があるばかりかというとそうでもないと思います。人間も含め大きな生物は紫外線による殺菌作用の恩恵を受けている面もあるでしょう。紫外線によるDNAの改変が長い目で見れば生命の進化の原動力の一つになっているかも知れません。

ともあれ過剰な紫外線はほとんどの生命に有害であり、地球の大気は(特にその中の酸素とオゾン)は微妙にぎりぎりのところでその有害な紫外線を遮っているわけです。