オゾン物語 オゾン層の話……オゾン層と紫外線 その2

オゾン層の話……オゾン層と紫外線

オゾン層の破壊がフロンによるものであることはよく知られていると思います。

実際にオゾン層のオゾンを破壊するのはフロンから離れた塩素の原子と考えられてます。

地上付近で排出されたフロンは対流により上空に至り、更に対流圏の上空から成層圏に拡散していきます。

成層圏では一般に紫外線の働きで多くの分子が原子に分解していきますが、フロンもそこで分解して塩素を放出し、その塩素が次のようにオゾンと反応してオゾンを消滅させていくわけです。

この反応では塩素は触媒として働き、自らは化学変化を起こしてません。つまりこの反応のサイクルでオゾンは消滅しますが、塩素原子はまたもとの塩素原子に戻るので、1個の塩素原子でオゾン分子を何個でも消滅させることが出来ることになります。

塩素原子によるオゾン分子の消滅

以上がフロンによるオゾン層破壊のメカニズムです。

フロンだけではなく、一般にVOC(揮発性有機物)、すなわちトルエン、キシレンほか全ての有機物を含んだガスも多かれ少なかれオゾン層破壊を起こすと考えられます。従ってフロンだけを規制してもオゾン層破壊の原因を根絶したことにはならないだろうと思います。

オゾン層が特に破壊された領域をオゾンホールと呼んでます。

オゾンホールの下では有害紫外線のB波が強くなります。

次はオゾン層の厚みと紫外線の強度の関係に関するデータです。

ここでオゾン層の厚みを表す横軸の値の単位のDUは前述のm/atom-cmと同じでです。(たとえば320DUというのは地上に上空のオゾンを全て集めて1気圧、0℃としたときのオゾンの厚みが3.2mmということを意味します)

この図から紫外線の量はオゾン層の厚みにほぼ反比例しているようです。

紫外線量とオゾン層の厚み

次は気象庁による南半球でのオゾンホールの面積の変化のグラフです。

上の図は1年の間の変動で、下がこれまでの変化です。

オゾンホール年間変動 オゾンホール面積比

オゾンホールの面積は2500万平方キロメートルに達してます。

私が代表取締役をしているエコデザイン株式会社はオゾン発生器を作ってますが、その話をするとオゾン層に出来たオゾンホールをオゾン発生器で発生させるオゾンで埋められるかと聞かれることがあります。

仮に2500万キロメートルのオゾンホールに厚み2mm(200DU)のオゾン層を作るとすると、50立方kmのオゾンが必要です。1立方メートルのオゾンは約2kgです。従って50立方kmのオゾンというのは1億トンになります。この量のオゾンを生産するには世界中のオゾン発生器を全てフル稼働したとしても100年以上かかるでしょう。それにオゾンは消滅していくので、実際にはオゾン発生器のオゾンでオゾンホールにオゾンを満たすのは不可能な話です。

地球のオゾン層を守るにはフロンやVOC(揮発性有機物)の放出を減らす以外の方法はないと思います。