オゾン物語 オゾンの危険性……オゾン自身の爆発

オゾンの危険性……オゾン自身の爆発

1:29:300の法則(ハインリッヒの法則)というのがあることを知りました。

これは、労働災害における経験則の一つで、「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異状が存在するというもの」だということです。

私自身はオゾンを扱い始めてから10年程度ですが、その間にオゾンに関わるいくつかの事故を経験してます。

いずれも運よく大事故にはならなかったのですが、ことによれば命を落としていた可能性すらあります。

私の経営しているエコデザイン株式会社はオゾン発生器のメーカですので、オゾンの危険性を殊更に述べ立てるのは若干の躊躇を感じてます。

しかし将来起こるかも知れない事故を未然に防ぐためには、オゾンの危険性について私自身の体験も含めて世の中の人々に私の知る限りのことを伝えておくのが責務ではないかと思います。

特にオゾンの新分野利用を目指して研究、開発する人々にはオゾンの危険性について、またその危険性の回避の方法について分な理解をもっていただき、万が一にも事故が起こらないようにしていただきたいと念願してます。

オゾンの危険性は大別すると「爆発」「火災」「吸引」の3種です。

先ず爆発についてです。

オゾンに関わる爆発は3種類です。

  • オゾン自身の爆発
  • オゾンと他の物質との反応による爆発
  • 活性炭の爆発
オゾン爆発

オゾン爆発についてです。

爆発の原理

オゾン濃度が一定以上に高まり、点火源等があるとオゾンが一挙に酸素に転化して起こるものです。

 

化学式では2O3⇒3O2の反応が連鎖、拡大的に進行して起こります。

爆発の事例

固体状のオゾンを確認したいために実験を行っていたときのことです。

液体窒素で外側を冷却した蓋付硝子瓶の中にオゾンを含む酸素を流通させました。

オゾンは紫色の固体となって硝子瓶の内壁に付着しました。30分ほど経過すると内壁一面に紫色の固体オゾンが付着してきました。

私がその硝子瓶を手でつかんで液体窒素から引き上げたところ10秒ほどでオゾンが紫色の気体となって硝子瓶内に充満しました。

一緒に実験していた者が硝子瓶内圧力が1.5気圧程度に高まったのを見て硝子瓶が破損する危険が生じたと考え、とっさに硝子瓶から外気に通じる弁を開放しましたが、その直後に爆発しました。

爆発したオゾンの量は推定で0.5g程度です。

爆発の状況と被害

大音響と共に硝子瓶が粉々に砕け散り、細かいガラスの破片が私の顔と腕に刺さりました。幸い大きな怪我はありませんでした。

一時的に耳がまったく聞こえなくなりましたが、10分くらいしたらやや聞こえるようになり、やがて元通りに回復しました。

爆発の原因

純度の高い(90%以上)オゾンガスに、バルブの開放時に発生したと考えられる火花が点火して爆発が起こったと考えています。

しかし、バルブの開放がなくても紫外線などで爆発が引き起こされた可能性はあります。

実際別のより小規模の爆発の例ですが、テフロン管の中の高純度オゾンが、点火源もないようなのに爆発したことがあります。

爆発の防止策

オゾン爆発は標準温度圧力(0℃1気圧)ではオゾン濃度が54重量%以上で起こるというデータがあります。(オゾンの基礎と応用:杉光英俊著)

ところが平成17年の3月に経済産業省の発行した「オゾン利用に関する安全基準(リンク・別窓)」によれば、オゾンの爆発下限界が10~11体積%とされてます。仮に10体積%としますと、これは14.3重量%で、よく使われる別の単位では215g/Nm3になり無声放電でも発生できる濃度です。

その根拠がどうなのかはもう少し調べる必要があると思ってます。実際には現状では250g/Nm(11.7体積%)以上のオゾンが発生され使用さえていますが、特に問題が起こったという話は聞いておりません。

ただそのような指針がある以上、とりあえずこの程度の濃度になったら注意が必要でしょう。

爆発の危険は特に、冷却や吸着によってオゾン濃度を高めた場合に大きくなります。 

特にこのような手段で高濃度オゾンを作る場合には次の原則によるべきと考えます。

  • 極力オゾンを固体または液体のまま保持する。また最小限の量を保持する。
  • 高濃度の気体状のオゾンは低圧力(たとえば10mmHG以下)で扱う。

経験的には0.5g程度の高純度の液体状オゾンを生成保管し問題は起こってません。

また10mmHg以下での気体状の高純度オゾンの爆発は経験していません。

なお、液体上のオゾンも爆発性はあると言われてますので、上記原則を守れば絶対に爆発は起こらないというわけではありません。

したがって高濃度オゾンを扱う場合には、万一爆発しても人的被害が起こらないように、作業エリアと装置の間に防壁を設ける等の処置を講じるべきであると思います。