下水処理時に発生する汚泥をオゾン処理で大幅削減

導入企業中央大学 様
インタビュー衛生工学研究室 教授 松尾吉高 様 ならびに学生の皆様17名
所在地東京都文京区
使用目的水処理、汚泥処理
使用製品

オゾン発生器 ED-OG-A10

【販売終了品】現在のこの用途に適している機種は「産業用空冷式オゾン発生器 ファボゾン5 FOG-AC5G」です。

インタビュー

――どんなことをされている研究室でしょうか?

水の浄化、その中でも主に下水の処理に関する研究をしています。

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――何か特別なやり方について研究されているのですか?

UCTプロセスという、南アフリカで考案された特殊な下水処理法について研究しています。

近年、排水中のチッ素やリンがどんどん増えており問題になっているのですが、通常の標準活性汚泥法ではそれらは除去出来ません。
ですが、嫌気好気活性汚泥法という方法を用いるとチッ素やリンを除去できるのです。UCTプロセスはその嫌気好気活性汚泥法のうちの一つです。

――ではそのUCTプロセスの研究において、オゾンを使用するとどのような効果があるのでしょうか?

下水処理では水中の有機物による汚れを微生物に分解してもらうことによって水を浄化しているのですが、その微生物処理を行う間に微生物自体の量がどんどん増えていき、溜まっていきます。この増えすぎた微生物を余剰汚泥といいます。
下水処理では毎日大量の余剰汚泥を抜き取っていますが、この余剰汚泥を焼却処分するのに膨大なエネルギーが必要になっているのです。

ですが、微生物処理で出た汚泥を一部抜き取り、それにオゾンを吹き込んでからまた戻してやる。すると排出される余剰汚泥の量を大幅に減らすことができるのです。

――なぜそんな現象が起きるのでしょうか?

汚泥自体というのはそのままでは微生物に分解させることが出来ません。ですが、オゾンを当ててやることにより汚泥が酸化され、微生物にとって分解しやすい形にすることができるのです。

――こちらの研究室ではそれをどのように研究されているのでしょうか?

2つの全く同じUCTプロセスの実験系統を作り、片方はオゾン処理を行い、もう片方はオゾン処理なしで比較を行っています。

――オゾン処理を加えた場合と加えない場合とで差というのは顕著に現れるものなのですか?

はい。現在、オゾン処理を加えた方の系統の汚泥の量は加えない方の約半分の量になっています。

――半分というのはどのような意味で半分なのでしょうか?

水中の汚泥の含有率です。この系統中の排水の量はトータルで11.5リットルになり、そこへ一日に30リットルほどの排水が送られます。その排水がそれぞれ系統中を1日につき120リットルずつ循環し、0.65リットルずつ無酸素槽から汚泥を抜き取っています。
そして片方の系統のみ、循環している廃水を曝気槽の中から毎日1リットル抜き取り、それに約1.5グラムのオゾンを吹き込んで無酸素槽に戻してやっています。

その結果、曝気槽における汚泥の含有量は、オゾンを加えない方の系統で1リットルあたり約5000ミリグラム、オゾンを加えた方の系統では1リットルあたり約2500ミリグラムとなり、汚泥が約半分の量になっているということができます。

――なるほど、よく分かりました。ちなみに…石渡さんがこの研究室を選ばれた理由などお聞かせ願えませんでしょうか?

僕は千葉の出身なのですが、地元に印旛沼という沼があって、それがとっても汚いんです。そういうのを見て育ったので、水の浄化には元々興味を持っていました。それでこの研究室を選んだのです。

――素晴らしいです! 今後も研究頑張ってください。どうもありがとうございました。

製品の活用方法

活用方法の詳細
活用方法の詳細
活用方法の詳細
  1. A. UCTプロセス
    (1) 水タンク (2) 有機汚れの素 (3) 嫌気槽 (4) 無酸素槽 (5) 曝気槽1 (6) 曝気槽2 (7) 曝気槽3 (8) 沈殿槽
  2. B. UCTプロセス (別角度から)
  3. C. オゾン処理
    (1) オゾン発生器 (2) オゾン曝気容器

UCTプロセス実験系統全体の流れ:

  • ■(1) 水タンクからの無機汚れと水および (2) メスシリンダーからの有機汚れの素が混合されて作られた人工廃水がポンプで1日に30リットルずつ系統内に送られる。系統内の廃水の量はトータルで11.5リットル。
  • ■送られた廃水は循環ポンプにて (3) 嫌気槽、(4) 無酸素槽、(5) (6) (7) 曝気槽の処理工程を循環させられる。循環流量は1日に約120リットル。
  • ■循環している廃水の一部が (7) 曝気槽3より (8) 沈殿槽に送られ、その上澄み液が浄化された水として取り出される。
  • ■無酸素槽より1日に0.65リットルずつ余剰汚泥として廃水を抜き取っている。
  • ■さらに、試験系統1のみ曝気槽3より廃水を一部採取し、オゾン曝気処理を加えて (4) 無酸素槽に戻す。
  • ■このような処理が毎日連続的に続けられ、1.5ヶ月~数ヶ月程運転し、その間の系統の変化を見る。

オゾン処理の流れ:

  • ■排オゾンガスの処理のため、ドラフトチャンバー内にてオゾン処理を行う。
  • ■エアーポンプから送られた空気が (1) オゾン発生器を通り、オゾン含有空気となって (2) オゾン曝気容器へ送られる。
  • ■オゾン曝気容器にはオゾン処理用の汚泥含有水が1リットル入っている。スターラーで攪拌されている汚泥中にオゾンが吹き込まれる。
  • ■オゾンの曝気は毎分2リットルの流量、約4000ppmの濃度で約1.5時間行われ、オゾン量で約1.5グラムのオゾンが吹き込まれる。吹き込まれるオゾンの量はKI法にて測定されている。

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