生活排水にオゾンをバブリング(吹き込み)し、脱色・脱臭を行ってみた

はじめに

オゾンには脱色・脱臭の効果があり、排水処理の分野でも活用が期待されています。この記事では、生活排水にオゾンをバブリング(吹き込み)して脱色・脱臭を行った実験について、その方法から結果・考察までをわかりやすく解説します。

 

記事のポイント

  1. 生活排水(浄化槽からの放流水)にオゾンをバブリングし、脱色・脱臭の効果を検証した

  2. オゾン処理では脱色・脱臭の効果が見られたが、同条件の酸素処理では効果がなかった

  3. 排水への投入前後でオゾンガス濃度に大きな差はなく、反応しやすい成分のみに作用している可能性がある

  4. 脱色・脱臭のみが目的であれば、比較的少ないオゾン量で効果が期待できる可能性が示唆された

  5. 効果や必要なオゾン量は排水の成分によって変わるため、実サンプルでの小規模試験がおすすめ

実験の背景

日頃から当社では、下水処理水、畜産排水、中水などについて、「排水基準はクリアしているのだが、色やニオイが抜けない。オゾンでそれらを取り除けないか」とのご相談を受けています。オゾンには脱色、脱臭効果があるからです。

オゾンを使った小規模実験の提案や現地訪問などを経てから、適切なオゾン投入量や各種試験条件を相談・決定し、提案を行っています。

今回は、社内で得た排水処理水(社内の浄化槽からの放流水)を使って、オゾンによる脱色・脱臭の効果の検証を行ってみました。また、投入したオゾンがどの程度反応して消費されるかを合わせて検証しました。

 

実験方法

ここでは、今回の脱色・脱臭実験をどのような構成・手順で行ったかを説明します。使用した装置、試験系統図、試験手順の順にご紹介します。

 

使用装置

装置 型式・仕様 メーカー
オゾン発生器 ファボゾン5 FOG-AC5G
オゾンガス発生量:最大5g/h
オゾンガス濃度:最大70g/m3(N)以上
エコデザイン株式会社
オゾン濃度計 PG-620H
紫外線吸光式
荏原実業株式会社
オゾン分解器 ED-MD9-500S
酸化マンガン触媒(パラジウム添加)
エコデザイン株式会社
酸素ボンベ 普通純度 >99.5%

 

試験系統図

試験系統図 ※適宜、系統中の流量計・バルブなどは省略しています

 

試験手順

酸素処理系統とオゾン処理系統の2系統を用意し、装置のセッティング・流量調整・漏洩確認を行ったうえで試験を開始します。オゾン発生器からオゾンを供給して脱色・脱臭の効果を確認し、処理後のオゾンは分解器で酸素に分解してから排気します。目的を達成したらオゾン発生を停止し、系統内のオゾンを酸素ガスで追い出してから試験を終了します。

試験手順
  • 準備
    STEP 1. 酸素処理系統とオゾン処理系統を用意する
     

    オゾンガスの発生源には酸素ボンベを用います。
     
    今回は、酸素ボンベから直接酸素ガスをバブリングする系統と、オゾン発生器を通してオゾンガスをバブリングする系統をそれぞれ準備しました。2つの系統に同時に同じガス流量で吹き込むことで、酸素処理とオゾン処理との比較を行います。

     

  • 準備
    STEP 2. 系統中の装置を準備する
     

    オゾン処理側の系統の装置のセッティングを行います。必要な濃度を得るための出力の調整、濃度計の暖機運転など。
     
    オゾン処理系統のオゾン濃度計は、入口側と出口側に同じ濃度レンジのものを設けることで、オゾン処理前後でオゾン濃度がどの程度変化しているかを確認します。

     

  • 準備
    STEP 3. 酸素ガスを流しつつ、流量を調節する
     

    酸素ボンベから酸素ガスを流します。この時点ではどちらの系統とも酸素ガスが流れている状態です。流量を調節し、目的の流量にします。

     

  • 準備
    STEP 4. 漏洩がないか確認する
     

    事故防止のため、オゾンを発生させる前に、試験系統中からガスや試験サンプルの漏洩が起こっていないかの最終チェックをします。

     

  • 試験
    STEP 5. 試験開始:オゾン発生を開始する
     

    オゾン発生器の電源を入れ、オゾン処理系統へオゾンガスを流し始めます。厳密にはオゾン含有酸素ガスが流れます。

     

  • 試験
    STEP 6. 処理後のオゾンは分解する
     

    オゾン処理系統の末端には、予めオゾン分解器を接続しておきます。オゾン分解器には、オゾン分解に適した触媒が詰められています。これにより、オゾンは完全に酸素に分解されるため、大気開放ができます(試験サンプルの成分にもよる)。

     

  • 終了
    STEP 7. 目的が達成されたら、オゾン発生を停止する
     

    目的(今回は脱色・脱臭)が達成されたら、オゾン発生器を停止します。
     
    その後はそのまま酸素ガスを暫く流し続け、系統中のオゾンガスを追い出します。残ったオゾンは濃度計の数値によって確認できます。

     

  • 終了
    STEP 8. 試験終了
     

    問題なければ、試験を終了します。適宜、系統を解体します。

 

実験結果

試験開始から1分程度経過すると、オゾン処理中の試験サンプルは既に目視でも色が少し薄くなってきているのが分かる程度に脱色されてきました。2分程度経過すると、さらに色が薄くなりました。3分30秒程度経過すると、ほぼ透明となりました。

試験終了後、オゾン処理後の試験サンプルのニオイが薄くなっていることも確認できました。

入口濃度・出口濃度の推移グラフ

 

考察

社内で得た排水(浄化槽からの放流水)において、オゾン処理による脱色、脱臭の効果があることが確認できました。また、同じ時間の酸素処理では同様の効果は見られませんでした。

排水への投入前後で、オゾンガス濃度に大きな差はありませんでした。
このことから、オゾンは排水中で反応しやすい成分のみに作用している可能性があります。そして今回の実験において、それは色素・臭気成分であると考えられます。

このことより、脱色や脱臭のみの用途であれば、比較的少ない投入オゾン量で効果が期待できる可能性が示唆されます。

なお、この色素成分は恐らく胆汁色素のビリルビンであると思われます。

 

よくあるご質問

Q
どんな排水でも、オゾンで脱色・脱臭できますか?
A

色やニオイの原因となる成分によります。今回のように反応しやすい成分が原因であれば効果が期待できますが、成分によっては必要なオゾン量や処理時間が大きく変わります。まずは実際の排水で小規模な試験を行い、効果と適切な条件を確認することをお勧めします。

Q
酸素の曝気ではなくオゾン処理で効果が出たのはなぜですか?
A

同じ時間・同じ流量で酸素ガスを吹き込んだ系統では、今回のような脱色・脱臭の効果は見られませんでした。このことから、効果は単なる曝気(ガスの吹き込み)ではなく、オゾンの酸化作用によるものと考えられます。

Q
脱色・脱臭には大量のオゾンが必要ですか?
A

必ずしも大量とは限りません。今回の実験では、排水への投入前後でオゾンガス濃度に大きな差がありませんでした。オゾンが反応しやすい成分(色素・臭気成分)のみに作用している可能性があり、脱色・脱臭のみが目的であれば比較的少ないオゾン量で効果が期待できる可能性が示唆されます。

Q
排水基準(COD・BODなど)も下げられますか?
A

今回の実験は脱色・脱臭の確認が目的で、排水基準項目の低減は検証していません。一般的に、オゾン処理によってCOD・BOD値の低減効果が認められるケースが多いです。ただし、特にBOD値の低減効果が不十分(あるいは上昇する)ケースもございますので、個別にご相談ください。

Q
自社の排水でも試せますか?
A

可能です。当社では、実際の排水を用いた小規模実験のご提案や現地訪問を通じて、適切なオゾン投入量や試験条件を相談しながら決定し、ご提案しています。色やニオイでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

まとめ

今回の実験では、生活排水(浄化槽からの放流水)にオゾンをバブリングすることで、脱色・脱臭の効果が得られることを確認できました。同じ条件の酸素処理では同様の効果が見られなかったことから、これはオゾンの酸化作用によるものと考えられます。

また、排水への投入前後でオゾンガス濃度に大きな差がなかったことから、オゾンは反応しやすい成分(色素・臭気成分)のみに作用している可能性があり、脱色・脱臭のみが目的であれば、比較的少ないオゾン量で効果が期待できる可能性が示唆されました。

ただし、効果や必要なオゾン量は排水に含まれる成分によって大きく変わります。色やニオイにお困りの排水がございましたら、まずは実際のサンプルを用いた小規模試験で、効果と適切な条件を確認することをお勧めします。

オゾンの取り扱い上の注意
  • オゾンは高濃度で人体に有害となるおそれがあります。必ず換気を確保し、適切な安全対策の上で使用してください。
  • 用途・環境により必要な対策は異なります。設置・運用に不安がある場合は専門家に相談してください。

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