
はじめに
今回は「オゾンを作る装置そのものの清浄性」に着目します。原料水や配管には目が向いても、オゾン発生器自身は意外と見落とされがちです。
そこで、オゾン水の導入や装置選定を検討している方に向けて、エコデザイン製装置と他社のセラミックス平板式放電体を用いた装置を比較した実験例から、オゾンガス中のパーティクル(微細粒子)とオゾン水中の金属成分から、放電体の材質だけでなく構造まで確認する重要性を紹介します。
記事のポイント
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オゾン発生器自身がパーティクルや金属の汚染源になり得る
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放電体の材質名だけでなく、接ガス部を含む材質・構造が重要
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ON/OFF比較ではエコデザイン製は大きな増加なし、他社は全粒径で増加
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ICP-OESでは他社製オゾン発生器のみAl・Mg濃度の上昇を確認
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装置選定では発生量だけでなく、清浄性の評価状況をメーカーに確認
見落とされがちな汚染源――オゾン発生器そのもの
オゾン水の清浄度を考えるとき、原料水の純度や配管・タンクの材質はよく確認されます。ところが、オゾンを作るオゾン発生器(オゾナイザ)自身が汚染源になり得ることは、意外と見落とされがちです。
オゾンガスは発生器を出たあと、そのまま溶解部へ送られてオゾン水になります。もし発生器内部でパーティクルや金属成分が生じれば、それらがガスに乗って下流へ移動し、最終的な水質に影響する可能性があります。
特に半導体洗浄など、微量な異物や金属コンタミネーションを嫌う用途では、「何g/hのオゾンが出るか」だけでなく、「オゾンを作る過程で余計なものを持ち込まないか」という視点も重要です。

なぜ放電体の材質と構造が重要なのか
オゾン発生器では、放電によって酸素からオゾンを生成します。このとき重要なのは、放電体に何を使っているかだけではありません。放電がどの部材に触れるのか、オゾンガスがどの材料と接触するのかといった構造も、発生ガスの清浄性に関係します。
今回比較したのは、エコデザイン社の石英放電体を用いたオゾン発生器と、他社のセラミックス平板式放電体を用いたオゾン発生器です。今回評価した他社装置では、放電がセラミックス母材の表面に直接触れる構造となっており、放電時の電気的・熱的な負荷が母材へ直接加わります。表面から微細な粒子が脱落すれば、それがオゾンガスに混ざって下流へ運ばれる可能性があります。
ただし、「セラミックスだから必ず汚染する」「石英なら必ず汚染しない」と材質名だけで断定はできません。石英放電体であっても、金属電極など他の部材がオゾンガスに接する構造があります。今回の記事で着目するのは石英という材質名そのものではなく、接ガス部を含めた装置構造と、その結果として実測された清浄性です。
今回は、2つの測定実験を行い、パーティクルとICP-OESの2方向で装置の違いによる清浄性の違いを比較します。
実験① 放電ON/OFFでパーティクルを比較
まず、オゾンガス中のパーティクルを0.5 μm級、1.0 μm級、2.0 μm級の3粒径で測定しました。放電体以外の影響をできるだけ減らすため、エコデザイン製装置と他社装置は原料ガスを同じボンベ酸素条件にそろえて比較しています。測定条件は以下の通りです。
| 項目 | 測定条件 |
|---|---|
| 測定器 | リオン製パーティクルカウンタ KC-52 |
| 評価体積 | 2.83 L |
| 評価粒径 | >0.5 μm、>1.0 μm、>2.0 μm |
| 設置場所 | ドラフト内 |
| 比較時の原料ガス | エコデザイン製装置・他社装置ともボンベ酸素条件に統一 |



※グラフは、エコデザイン製装置・比較対象装置ともに原料ガスを同じボンベ酸素条件にそろえて測定した結果です。本結果は今回評価した2機種についてのものであり、石英式・セラミックス式全般の性能を示すものではありません。
この試験では、オゾン発生器のON/OFF時のパーティクル数を比較しております。OFFはオゾン発生器が放電していない状態、ONは放電してオゾンを発生している状態です。
パーティクルの絶対値だけでは、測定場所にもともと存在する粒子の影響を受けます。同じ系統でOFFからONへの変化を見ることで、「放電を始めたときに粒子が増えたか」を切り分けやすくなります。ここが今回の比較の核です。
結果として、今回評価したエコデザイン製装置では3粒径ともOFFとONで大きな増加は確認されませんでした。一方、今回評価した他社装置では、0.5 μm級、1.0 μm級、2.0 μm級のすべてでON時にパーティクル数が増加しました。
よって、今回の比較条件では、放電開始に伴う粒子発生の差が確認されました。
実験② オゾン水中の金属成分を比較
次に、同じ2台のオゾン発生器でオゾン水を生成し、ICP-OES(元素分析)で金属成分を確認しました。ここでは、原料水そのものを基準に、エコデザイン製装置で生成したオゾン水、他社装置で生成したオゾン水の3水準を比べます。
エコデザイン製装置・他社装置は原料ガスを同じボンベ酸素条件にそろえています。原料水を基準に置くことで、もともと水に含まれる元素と、オゾン生成工程を通った後の変化を見分けやすくなります。
| 元素 | 原料水 | エコデザイン製 (石英放電体) | 他社 (セラミックス平板式) |
|---|---|---|---|
| Na | 0.007 | 0.007 | 0.010 |
| Al | 0.004 | 0.003 | 0.013 |
| Mg | 0.006 | 0.005 | 0.012 |
| Cu | <0.005 | <0.005 | <0.005 |
| Zn | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
| Fe | <0.005 | <0.005 | <0.005 |
※「<」は表記された濃度未満であることを示します。エコデザイン製装置・他社装置はともにボンベ酸素条件の結果を掲載しています。
今回評価した他社装置では、Alが原料水の0.004 mg/Lから0.013 mg/L、Mgが0.006 mg/Lから0.012 mg/Lへ上昇しました。Cu・Zn・Feはいずれも不検出域(表記上はそれぞれ<0.005、<0.001、<0.005 mg/L)でした。一方、今回評価したエコデザイン製装置では、Naは原料水と同等、Al・Mgは原料水以下で、測定した6元素について原料水を上回る値は確認されませんでした。
2つの実験結果から考えられること
パーティクル試験では、今回評価した他社装置で放電ON時に3粒径すべてが増加しました。ICP-OESでは、その同じ他社装置で生成したオゾン水のAlとMgが原料水より上昇し、Cu・Zn・Feは不検出域でした。気体側の「粒子が増える」という結果と、液体側の「特定元素が増える」という結果が、同じ方向を示したことになります。
この2つを合わせると、今回評価した他社装置では、放電によってセラミックス母材の一部(AlおよびMg)が微細粒子として脱粒し、オゾンガスに乗って下流へ移動した可能性が考えられます。
ただし、これは今回の測定結果から得られた仮説です。母材の組成分析や捕集粒子の直接分析まで行ったものではないため、発生源を断定するには追加確認が必要です。それでも、パーティクルと元素分析という別々の測定が同じ方向を示したことは、オゾン発生器を選ぶ際に材質名だけでなく、接ガス部を含めた構造まで確認すべき理由の一つになります。
オゾン水装置を選ぶとき、メーカーに確認したい3つのポイント
清浄性が重要な用途でも、ユーザー自身がパーティクル測定や元素分析のデータを一から調べるのは現実的ではありません。そこで、装置を比較するときはメーカーに次の3点を確認すると判断しやすくなります。
- オゾンが触れる部分には、どのような材質が使われていますか?
放電体の誘電体だけでなく、電極やガス流路など、オゾンガスが実際に接触する部分(接ガス部)の材質までメーカーに確認します。 - オゾン発生時の金属コンタミネーションを評価していますか?
オゾン発生時に副生成物として発生する物質の評価を行っているかを確認します。特に半導体用途での利用を想定する場合は、金属コンタミネーションに関する評価を行っているか確認します。 - 実際の用途に近い条件で確認できますか?
清浄度が重要な用途では、デモ試験やサンプル評価など、導入予定のプロセスに近い条件で確認できるか相談します。
特に半導体・精密洗浄用途などにおいては、「オゾンが十分に出ること」と「余計なものを持ち込まないこと」は別の性能と言えます。メーカーが清浄性をどこまで実測評価しているかを確認し、必要に応じて導入予定のプロセスに近い条件でのデモ試験やサンプル評価を相談すると、装置選定の判断材料になります。
※本記事の比較結果は、今回評価した特定のエコデザイン製装置と他社装置、および記載した試験条件に基づくものです。「石英だからクリーン」「セラミックスだから汚染する」と一般化できるものではなく、接ガス部を含む装置構造と実測結果をあわせて確認することが重要です。
よくあるご質問
- Qセラミックス平板式のオゾン発生器は、すべてパーティクルが増えるのですか?
- A
いいえ。本試験は特定の他社装置を対象にした比較であり、すべてのセラミックス式に一般化できる結果ではありません。材質だけでなく電極構造、表面状態、運転条件によっても挙動は変わるため、実機データで確認することが重要です。
- QなぜパーティクルはOFFとONで比較するのですか?
- A
測定場所には装置を動かしていなくても背景粒子があります。OFF時を基準にしてON時の増減を見ることで、放電開始に伴う変化を切り分けやすくなります。絶対値よりも、同じ条件での差分を見ることがポイントです。
- QICP-OESでは何が分かりますか?
- A
ICP-OESは水中の元素濃度を測定する分析方法です。原料水とオゾン水を比較することで、オゾン生成工程を通したあとに特定の元素が増えていないかを確認できます。今回の試験ではAlとMgの変化に着目しました。
- Qオゾン水装置を選ぶとき、材質だけ見れば十分ですか?
- A
材質は重要ですが、それだけでは十分ではありません。メーカーに、接ガス部の材質や放電との位置関係、パーティクルや金属コンタミネーションの評価有無を確認するのが現実的です。清浄度が特に重要な場合は、実際の用途に近い条件で評価できるかも相談するとよいでしょう。
- Q石英放電体なら金属コンタミネーションはゼロですか?
- A
いいえ。石英を使っていること自体がクリーンさを保証するわけではありません。石英放電体でも、金属電極など他の部材がオゾンガスに接する構造があります。今回のエコデザイン製装置では測定した6元素が原料水同等以下でしたが、これは材質名だけでなく接ガス部を含めた装置構造とあわせて評価すべき結果です。配管・継手・溶解部なども含め、求める清浄度に応じてシステム全体で確認する必要があります。
まとめ
オゾン水の清浄性は、原料水や配管だけでなく、オゾンを作る発生器自身にも左右されます。今回の比較では、エコデザイン製装置は放電ONにしてもパーティクルの大きな増加は確認されず、オゾン水の測定6元素も原料水同等以下でした。一方、今回評価した他社装置では3粒径すべてでパーティクルが増加し、オゾン水ではAl・Mgの上昇が確認されました。
装置を選ぶ際は、オゾン発生量や濃度に加えて、接ガス部を含む材質・構造と、清浄性をメーカーがどのように実測評価しているかまで確認することが重要です。
- オゾンは高濃度で人体に有害となるおそれがあります。必ず換気を確保し、適切な安全対策の上で使用してください。
- 用途・環境により必要な対策は異なります。設置・運用に不安がある場合は専門家に相談してください。
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