オゾン水によるフォトレジスト剥離|予備試験の結果と導入時のポイント

はじめに

オゾン水の導入・装置選定を検討している方に向けて、エコデザインで行ったフォトレジスト剥離の予備試験を紹介します。この記事では、実際にどのようなサンプルを処理し、どのような結果が得られたのかを中心に、オゾン水を使うメリットと注意点までシンプルに整理します。

記事のポイント

  1. オゾン水の酸化力で有機物のフォトレジストを分解・除去

  2. 予備試験ではガラス基板上のレジスト膜が目視で除去された

  3. 剥離工程の薬液使用量や廃液処理負荷の低減が期待できる

  4. 除去性はレジスト種類や膜厚、オゾン濃度などで変化する

  5. 導入前は実サンプルで除去性と基板への影響を評価することが重要

今回の予備試験で何を確かめたのか

今回の予備試験の目的は、ガラス基板上に成膜したフォトレジスト膜を、オゾン水で除去できるかを確認することです。処理速度や最適条件を決めるための試験ではなく、まずはオゾン水によるフォトレジスト剥離の適用可能性を確認するために行いました。

試験の目的オゾン水でフォトレジストを除去できるかの確認
サンプルガラス基板上に成膜したフォトレジスト膜
剥離処理オゾン水を使用
処理後リンス用の水で洗浄
評価処理前後のサンプルを比較し、レジスト除去の可否を確認
図1 予備試験に使用したサンプル構造(ガラス基板上のフォトレジスト膜)

予備試験の結果:オゾン水処理後にレジスト膜を除去

処理前のサンプルでは、ガラス基板の表面に着色したフォトレジスト膜が確認できます。これをオゾン水で処理したところ、処理後はレジスト膜が除去され、透明なガラス基板が確認できました。今回の予備試験では、「このサンプルでは、オゾン水によってフォトレジストを除去できる」ことを目視で確認できた結果となります。

図2 フォトレジスト膜の処理前・オゾン水処理後の比較(左:処理前、右:処理後)

一方で、この結果はあくまで除去可否を確認するための予備試験です。処理時間や溶存オゾン濃度、温度、レジストの種類・膜厚などを変化させて性能を比較したものではありません。そのため、今回の結果だけから除去速度や量産時の処理時間まで判断することはできません。

どのような試験系で処理したのか

今回使用した試験系は、酸素からオゾンガスを発生させ、そのオゾンを水に溶かして処理部へ供給する構成です。流れを簡単にすると、次のようになります。

  1. 酸素ボンベから酸素をオゾンガス発生器へ供給する
  2. 発生させたオゾンガスをオゾン水生成部で原料水に溶解する
  3. 生成したオゾン水を処理部へ送り、フォトレジスト膜を処理する
  4. 処理後はリンス用の水で洗い流す
フォトレジスト剥離予備試験の試験系統(酸素ボンベ→オゾン発生器→オゾン水生成部→処理部)

フォトレジストは有機材料で構成されており、オゾン水の強い酸化力によって分解・除去が進みます。今回の試験では、剥離工程に薬液を使わず、オゾン水とリンス用の水のみを使用しました。

図4 予備試験で使用した処理部の様子

今回の予備試験から分かること・まだ分からないこと

今回確認できたのは、ガラス基板上のフォトレジストに対して、オゾン水による除去が可能だったという点です。薬液を使わずに剥離できる可能性を、実際のサンプルで確認できたことが今回の予備試験のポイントです。

ただし、実際の製造工程へ適用するには追加評価が必要です。フォトレジストは種類や膜厚、ベークなどの処理履歴によって状態が異なるため、同じ条件ですべてのレジストを除去できるとは限りません。また、必要なオゾン水濃度や処理時間、処理後の残渣、基板への影響なども、対象となる実サンプルで確認する必要があります。

フォトレジスト剥離にオゾン水を使うメリット・デメリット

今回の予備試験のように、オゾン水でフォトレジストを除去できれば、剥離薬液を減らせる可能性があります。一方で、オゾン水ならではの扱いにくさもあるため、メリットと注意点をセットで考えることが重要です。

薬液の使用

● メリット
条件が合えば、オゾン水とリンス水を中心とした剥離工程にでき、剥離薬液の使用量を減らせる可能性があります。

▲ 注意点
前後工程の洗浄などで別の薬液が必要になる場合があり、工程全体が薬液フリーになるとは限りません。

廃液処理

● メリット
剥離薬液の使用量を抑えることで、廃薬液の回収や処理に伴う負担の低減が期待できます。

▲ 注意点
分解されたフォトレジスト成分は処理水側へ移るため、実際の排水条件や処理方法の確認が必要です。

フォトレジストの除去

● メリット
オゾンの酸化力を利用して、有機物であるフォトレジストを分解・除去できます。

▲ 注意点
レジストの種類や膜厚、ベーク条件、硬化・変質状態などによって除去しやすさが変わります。

処理条件

● メリット
オゾン水濃度や流量、温度、供給方法などを調整し、対象サンプルに合わせた処理条件を検討できます。

▲ 注意点
オゾン水は時間とともに濃度が低下するため、生成から処理部までの配管や滞留時間も考慮する必要があります。

基板・材料への影響

● メリット
用途に応じて、接液部の材質や清浄度を考慮した装置構成を検討できます。

▲ 注意点
オゾンは強い酸化剤のため、露出した金属や一部の樹脂・接着材などへの影響を事前に確認する必要があります。

設備・安全対策

● メリット
オゾン水生成部を既存の処理設備へ組み込むなど、用途に合わせたシステム化を検討できます。

▲ 注意点
オゾンガスの漏えいを防ぐため、密閉・排気・排オゾン処理などの安全対策が必要です。

実際の導入では、実サンプルで条件を確認する

今回の予備試験は「オゾン水でフォトレジストを除去できるか」を確認する第一段階でした。実際に導入を検討する場合は、使用している基板とフォトレジストを使い、除去状態、処理時間、残渣、基板への影響、必要なオゾン水濃度・流量などを確認していきます。

エコデザインでは、お客様のサンプルを用いた適用評価・デモ試験にも対応しています。今回の予備試験と同じく、まずは小さなサンプルで除去可否を確認し、その結果をもとに必要な装置仕様や処理方法を検討することができます。

よくあるご質問

Q
オゾン水なら、どのフォトレジストでも除去できますか?
A

すべてのフォトレジストを同じ条件で除去できるとは限りません。種類や膜厚、処理履歴などによって除去性が変わるため、実際のサンプルで確認することが重要です。

Q
今回の予備試験では薬液を使っていますか?
A

剥離処理に使用したのはオゾン水とリンス用の水で、剥離薬液は使用していません。ただし、実際の製造工程では前後工程で別の薬液が必要になる場合があります。

Q
実際の基板やレジストで試験できますか?
A

はい。エコデザインでは各種サンプルでの適用評価・デモ試験に対応しています。対象サンプルで除去可否を確認したうえで、必要な処理条件や装置構成を検討できます。

まとめ

今回の予備試験では、ガラス基板上に成膜したフォトレジスト膜をオゾン水で処理し、レジストを除去できることを目視で確認しました。剥離に使用したのはオゾン水とリンス用の水のみで、薬液使用量や廃液処理負荷を減らせる可能性があります。一方、実際の工程へ適用するには、レジストの種類や膜状態、必要な処理時間、基板への影響などを実サンプルで確認することが重要です。

オゾンの取り扱い上の注意
  • オゾンは高濃度で人体に有害となるおそれがあります。必ず換気を確保し、適切な安全対策の上で使用してください。
  • 用途・環境により必要な対策は異なります。設置・運用に不安がある場合は専門家に相談してください。

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